くりいむレモンPART11「黒猫館」について

 

Q7-1:「黒猫館」で実際に担当した役割を教えてください。

A7-1:
○キャラクターデザイン
○キャラ作監・原画
○ストーリー原案、絵コンテ


Q7-2:ストーリーを作るにあたり、参考とした小説があると聞きます。著者と題名を教えてください。

A7-2:学生時代に読んだ福永武彦作「廃市」がモチーフです。ご本人はこのようなアニメのモチーフとされるのは迷惑かも知れませんが・・・。
小説の舞台は夏ですが「黒猫〜」の発売予定は冬だったので、季節感を考えて冬を舞台としました。


Q7-3:登場人物のうち、メイドの少女あやだけが劇中で姓を明らかにしません。設定があれば教えてください。

A7-3:姓は設定しておりません。


Q7-4:色指定が富本さんの指示通りにならない箇所が散見されたと聞きます。具体的にはどこの部分でしょうか。また、それは本来何色だったのですか。

A7-4:色指定に関しては私の希望が通った事が無く、リエ達のセーラー服の色なども終始不満を感じていました。もっとも色指定とは、画面の色設計を考えて配色を決定するいわば専門職なので、素人の私がわがままを言う方がおかしいのですが。

「黒猫〜」ではメイドの服の色です。本物は真っ黒ですがアニメの場合真っ黒は使えないので、より清楚なイメージの濃紺で依頼しました。実際は何の手違いか赤茶系の色になっており、 ガッカリしたものです。


Q7-5:40分で制作されることも検討されたという説がありますが、本当ですか。もしそうであったなら、どこが縮められたのですか。

A7-5:絵コンテの段階で通常の25分に収まりそうになかったので、40分で作れないかと提案しましたが、制作費、時間等の諸問題で却下となりました。別にどこかのシーンを削ってはおりません。


Q7-6:本編で数多く使われたクラシックは富本さんの指定だったのでしょうか。

A7-6:いいえ。音響に関しては音響監督にお任せだったと思います。


Q7-7:本編でスタッフクレジットに演出として名が挙がる「亜久竜夫」とはだれのことですか。また、富本さんが演出を担当したのではないのでしょうか。

A7-7:それまで演出にあたる作業はN[イニシャル表記]氏が行っておりましたが、やはりスケジュール等の問題もあり、今回は演出の方を別立てしてもらいました(お名前は失礼ながら失念)。
ちなみにアニメで言う演出の作業は、私は一本もやっておりません。それに近い事もした、という程度です。


Q7-8:有名なセリフ「己の心と書いて忌まわしいって読みます。己の心に従って堕ちてゆくのが忌まわしいなら、それもまたよいものですわ」はだれの発案だったのでしょうか。

A7-8:学生の頃「忌」の字を二つに分けて「なぜこんな字にしたんだろう」と不思議に思った記憶があり、ふと思い出して使ってみました。さほど意味を込めた訳ではありません。


Q7-9:冴子奥様のセリフ「よく3人で愛し合ったものですわ」と同人誌「表面張力」内の短編「黒猫館(あやの手紙)」には符合する設定が多々見られます。当初から長編を意識した設定を作っていたのでしょうか。

A7-9:長編を意識してはおりません。
私は短編は短編、長編は長編でそれぞれ完結している状態が最も美しいと感じますので、本来短編だったものを人気が出たからでっちあげて続編、という作り方には大変嫌悪を感じます。
従って例え私が描いた物でも、後付けのでっちあげに過ぎないもので、作品として同列にして欲しくはありません。


Q7-10:構想として、「黒猫館」に続編は存在するのですか。

A7-10:上記の理由から全く考えておりません。あの終わり方で納得して頂けるかと思うのですが・・・。
(注:A7-9で回答があったように、短編として構想した「黒猫館」に続編のイメージはないということである。ただし、「もし続編を作る機会があれば」という質問に対しては「上海を舞台に作りたい」という回答を得ている)


Q7-11:「黒猫館」は山奥の屋敷という設定ですが、具体的にはどこの地方を念頭に置いていたのでしょうか。

A7-11:特に具体的な場所をイメージしてはおりません。漠然と雪深い山奥のお屋敷、というイメージでした。
(注:あくまで口頭での話だが、「信州の軽井沢付近ではなかろうか」という回答を得ている)